天然醸造として日本最南端の日本酒製造
「南端氷仕込み」で仕上げる、うま味に満ちた酒

 熊本県の南側、鹿児島県との県境にほど近い葦北郡津奈木町。山の斜面には果樹の緑が生い茂り、八代海には大小の島々。山手から見下ろす風景はみずみずしく、言葉にならない美しさです。
 国道3号沿いに佇む漆喰塗りの蔵が、「亀萬酒造」。蔵の歴史は、代々医者の家系だった竹田家で創業者の竹田珍殊が治療代として納められていた米を使って酒造りを始めた1916(大正5)年にさかのぼります。鹿児島や人吉など、隣り合うのは焼酎のメッカとして知られる地域。冷蔵室などを用いない酒造りには、限界地点とも言えるこの場所で、日本最南端の天然醸造を続ける「亀萬酒造」には、ここならではの知恵と工夫がありました。
 深夜から扉を開け、夜の冷気をたっぷりと蔵に取り込むところから、純米大吟醸の仕込みが始まります。蒸米の甘い蒸気が満ちていくにつれ、活気づく蔵の中。外で蒸気の上がり具合を眺めていた三代目当主の竹田珠一さんは、不意に駆け戻り、放冷作業を始めました。「大吟醸は繊細な酒なので、温度の見極めには特に気を遣います。気温が高いため、仕込み水をできるだけ控え、その分大量の氷を投入してもろみの管理をするのです」。
 この蔵の特徴は、「南端氷仕込み」と呼ばれる大量の氷を使った醪仕込みです。蔵子たちは列をなし、適温になった蒸米をタンクへと運んだり、大きな氷柱を抱えて急いだり。ピリッとした緊張感に、酒造りへの本気度が漂います。杜氏であり四代目の竹田瑠典さんはこう言います。「修業中、出会った人たちに“熊本酵母はもう古い”と言われたこともある。でも事実は違います。最南端の地で思い通りの酒造りができるのは、生命力強くて実直な熊本酵母と、先人の工夫があればこそ。いつかこの酵母で、いつまでも飲み続けたくなるうまい酒を醸したい!」

亀萬酒造合資会社

〒869-5602 熊本県葦北郡津奈木町津奈木1192 
TEL 0966-78-2001 FAX 0966-78-3877
http://www.kameman.co.jp

創業/1916(大正5)年
代表者名/竹田珠一

【主な使用原料】
米:山田錦、レイホウ、神力、華錦 酵母:熊本酵母 水:大関山系湧水100%

【主な受賞歴】
ワイングラスでおいしい日本酒アワード2016金賞、第7回純米酒大賞2015金賞、スローフードジャパン第7回燗酒コンテスト2015最高金賞

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