熊本酵母の発祥蔵としての使命感
技術を伝え、酵母の価値を守るための酒造り

 「熊本県酒造研究所」には2つの顔があります。ひとつが「きょうかい9号酵母」の元株でもある「熊本酵母」を維持・管理する研究機関の顔、そしてもうひとつが「香露」の醸造元としての顔です。
 1909(明治42)年、県産酒の酒質向上を目的とし、県内の蔵元らの呼びかけによって立ち上げられた同研究所。当時の熊本は、御国酒として愛飲されていた赤酒から、清酒醸造へと移り変わろうとしていた時期でもあり、熊本の酒づくりを進化させるための結束だったことがうかがえます。以来、初代技師長に就任した野白金一氏による野白式天窓や袋吊り、二重桶方式をはじめとする技術開発や、蔵元への指導などが行われてきました。1952(昭和27)年に野白氏の手によって分離培養された「熊本酵母」は、日本醸造協会の「きょうかい9号酵母」として頒布されることとなり、全国の酒造りにも生かされています。
 こうした研究所の歴史を受け止めるのが、製造部長で杜氏でもある森川智さん。
 「研究所としての機能と、醸造元としての機能を併せ持つのは全国的に見てもめずらしいスタイル。自らも酒造りをしているからこそ蓄積できるデータがあり、伝えられることがあるんです」。
 酵母のデータを取るため、毎週4本の仕込みを実施。蔵の中には仕込みの時期や、米の銘柄・精米歩合が異なるタンクが比較しやすい状態で並べられています。蒸米から製麹までの一連の工程も、すべてがシンプルな動線にまとめられており、研究的視点で酒造りを見つめてきた同所ならではの工夫がうかがえます。
 「大切なのは偶然生まれる味ではなく、狙って醸すおいしさ」と語る森川さん。こうして醸された研究所の酒「香露」の大吟醸は、“幻の酒”として全国にファンを有する名酒でもあります。

株式会社熊本県酒造研究所

〒860-0073 熊本県熊本市中央区島崎1-7-20 
TEL 096-352-4921 FAX 096-352-4949

創業/1909(明治42)年
代表者名/吉村浩平

【主な使用原料】
米:華錦ほか 酵母:熊本酵母 水:阿蘇伏流水

【主な受賞歴】
平成28年 全国新酒鑑評会 金賞/平成28年 熊本国税局酒類鑑評会 優秀賞/平成28年 春季全国酒類コンクール 純米酒部門 特賞1位、本醸造部門 特賞1位 など

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