熊本酵母

「熊本酵母」の誕生。酔って楽しむお酒から、よりおいしいお酒へ

 「熊本県酒造研究所」における最も大きな業績のひとつが、野白氏の手によって分離・培養された「熊本酵母」です。それまでの酵母が安定的な酒造りを重視していたのに対し、「熊本酵母」は酸が穏やかで、華やかな香りを引き出すことのできる新たな酵母。同じ原材料を用いても、造り手の要求に応じた個性を引き出せるのが、最大の利点です。辛口から、甘みと芳醇な香りが際立つお酒まで、異なるタイプの清酒を思い通りに醸造できるなど優良さが認められ、日本醸造協会の「きょうかい9号酵母」として採用されました。短期間のもろみで華やかな香りが醸せることから、吟醸酒造りに最適な酵母として全国の多くの酒蔵に取り入れられるようになり、全国新酒鑑評会に出品される大吟醸酒の多くがこの9号酵母を使った時期もあったほどです。
 熊本県酒造研究所では今でも、この「きょうかい9号酵母」とは別に独自の「熊本酵母」を培養。毎年、「熊本酵母」と「きょうかい9号酵母」でそれぞれに清酒を醸し、こまめに分析しながら酵母としての高い品質を維持しています。

熊本地震の際には、全国の酒造家たちから心配の声が届いた「熊本酵母」。
温度管理と安全管理が厳重になされた施設で大切に守られ、無事だった

清酒造りにおける酵母の役割。「きょうかい酵母」について

 清酒を造る上で欠かせないのが米・水・麹、そして酵母と呼ばれる微生物の存在です。明治以前の清酒造りで用いられていた天然酵母や酒蔵にすみつく酵母には美酒を生み出すものがある一方で、酒質が安定しないなどの問題も多く、杜氏たちの悩みの種でもありました。こうした課題を解決するためにできたのが、「きょうかい酵母」。全国の優秀な酵母を科学的に培養し、日本醸造協会(当時の醸造協会)から全国の蔵元へと頒布することでようやく、各地で安定した質の清酒が醸造されるようになりました。

左/日本醸造協会で頒布される「きょうかい9号」のサンプル
右/寒天を入れた培地のなかで白く見えるのが酵母のコロニー

〈清酒造りの主な工程〉

※蔵元や造る清酒のタイプによって異なります。

1. 本洗い

米を水に浸す桶を念入りに磨き、酒造りの準備。

2. 精米

純米酒や吟醸酒、大吟醸酒など、造る酒に応じて米を磨く。

3. 洗米・浸漬(しんせき)

仕込み水で洗い、精米歩合に応じて水に浸す。

4. 蒸し

甑と呼ばれる巨大な蒸し器に米を入れ、蒸し上げる。

5. 製麹(せいぎく)

蒸米を程よい温度に冷まし、麹菌を植えつけて麹室に寝かせることで、
発酵に必要な麹を育てる。

6. 酒母造り(しゅぼづくり)

麹と水を入れた桶に、酵母と蒸した米を加える。
10日間〜3週間で酵母が培養されて酒母となる。

7. 仕込み(しこみ)

酒母に麹、蒸米、水を入れて仕込む。
麹と蒸米を3回にわけて加えていくことを3段仕込みと呼ぶ。

8. 搾り(上槽)

できあがった醪を酒と粕にわける工程。槽搾り圧搾機を使った搾りなどがある

9. 澱引き(おりびき)・ろ過

酒の中の沈殿物を澱と呼び、これを取り除くこと。

10. 火入れ(貯蔵火入れ)

酵素を失活させて品質を保持するために低温殺菌を行う。

11. 貯蔵

15~20度で貯蔵。熟成しすぎると色や雑味などが現れることもあるため、
厳密な温度管理を行う。

12. 調合・割水

異なる酒質の酒をブレンドし、目標とする酒質に仕上げる。一定の品質を保つため、
必要に応じてブレンドしたり、 原酒に水を加えてアルコール度数を調整する。

13. 火入れ(瓶詰め火入れ)

再度、低温加熱殺菌。貯蔵前の火入れだけを行うものを「生詰め」、
瓶詰め後の火入れだけを行うものを「生貯蔵」、
1度も火入れを行わないものを「生酒」と呼ぶ。

14. 瓶詰め

完成した酒を瓶に詰めた後、ラベルを貼って出荷する。

前ページ:熊本の清酒の歴史

蔵元紹介

TOPへ戻る

熊本酒造組合

〒860-0073 熊本市中央区島崎1丁目7-21 
TEL096-354-4888 FAX096-322-9817

info@kumamoto-sake.com

Copyright©2017 熊本酒造組合 
※本ページの写真およびテキストの無断転載を禁じます