まちの造り酒屋としての歩みと
共創から生まれる可能性

 阿蘇外輪山の南側、九州のほぼ真ん中にある上益城郡山都町。棚田の風景や、日本白糸台地を潤す水路橋「通潤橋」で知られるまちです。「通潤酒造」の酒はこの絶景を味わう酒。そして、この絶景を支える酒でもありました。
 1770(明和7)年、廻船問屋「備前屋」を営んでいた備前屋清九郎が、重い年貢に困窮する集落を救う産業として始めた酒造りがこの蔵の始まり。西南戦争では薩軍の本陣となり、西郷隆盛も投宿しました。
 1963(昭和38)年に「濱町酒造有限会社」から「通潤酒造」へと名を改めてからも、「この地の米と水と人」を大切にした酒造りの精神は変わらず受け継がれています。「春から秋は蔵人自ら田んぼに入って酒米を作り、冬にはその米を手に蔵に入る。それが通潤の酒造り。この地の人と米と水がつくる酒です」と語るのは、13代目となる山下愛子さん。幼い頃から蔵を遊び場として育ちました。「出麹の頃に祖母が作る甘酒や、酒米の蒸し具合を確かめる際に杜氏が焼く“もんもち”が楽しみでした」。愛子さんにとって、酒造りは生業であり故郷であり家族です。
 12代目当主でもある父・山下泰雄さんは元銀行マンという異例の経歴の持ち主。「オーナー杜氏が増えた今ですが、私はあくまで経営者。蔵に入らないことで見えるものもある」と語り、ならではの視点で経営手腕を振るいます。伝説の刀剣をヒントに開発した純米吟醸酒「蛍丸」はその代表的な例。デザイン開発やSNSの利用、女性市場を意識した展開に加え、コミケへの出店を果たすなど、前衛的な取り組みが話題を呼び、国内外でこれまでになかったファン層を開拓してきました。
 まちの造り酒屋としての核を大切にしつつ、共創から生まれる化学変化も楽しむ姿勢に、今後も目を離せない蔵のひとつです。

通潤酒造株式会社

〒861-3518 熊本県上益城郡山都町浜町54 
TEL 0967-72-1177 FAX 0967-72-0421
http://tuzyun.com

創業/1770(明和7)年
代表者名/山下泰雄

【主な使用原料】
米:華錦、山田錦、レイホウ 酵母:熊本酵母(熊本県酒造研究所製) 水:山都町の湧水100%

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